――広尾駅から歩くこと7分、天現寺の交差点近くのイタリアンで、ヒラヤマとタガシラはCLASSY.12月号発売日の夜を迎えていた。食後のエスプレッソとドルチェが運ばれるころ、「対話篇」第4回のインタビューがまさに始まろうとしていた。
ヒラヤマ(以下H) 今日はまたずいぶんと会社から離れた場所だな。
タガシラ(以下T) ええ、たまにはこういう趣向もよろしいかと思いまして。おかげさまで「対話篇」もだいぶ認知度が上がってきたようですし、ここはひとつ景気づけの意味もこめ、美味しいものを食べた後にゆっくりお話をうかがいたかったんです。
H チーズのパスタが美味かったよ。ああ、そういえばオレも最近会う人会う人にけっこう言われるなあ。「タガシラ」という人は実際に編集部に在籍されている方なんですか? ヒラヤマさんの創作なんじゃないですか?ってさ。
T 滅相もないことで! ボク、いちおう実在する編集部員なんですけどねえ。そう言われると、なんだか自分でも自信が持てなくなってくるな(笑)。で、ヒラヤマさん、その質問にはなんて答えているんですか?
H 実在はしています。ただし実像よりはよく書いています、って返事することにしてる。
T またまたご冗談を! そんな心にもないことをおっしゃって・・・ヒラヤマさん、小学生のころは好きな女のコにわざとイジワルをしていたクチですね?
H わりとな(笑)。ああもう与太話はいいから、本題にいくぞ。
T では今月の特集「私たち『ミーハー主義!』」についておうかがいします。
H CLASSY.読者のホンネは結局これに尽きるんじゃないかと思ってね、この特集にしました。微妙な意味合いの言葉ではあるんだけど、「ミーハー」な人って流行や情報に対して敏感だったり、積極的にもっと可愛くなりたい、オシャレになりたいっていう気持ちが強かったりするわけだから、むしろすごくポジティブなことだと思うんだよね。
T たしかにオシャレだなって思う人は、必ずどこかでミーハー志向がありますよね。だから話題も豊富でおもしろいし。まさにこれはうちの雑誌が理想とする読者像ですね。
H そう、要はミーハーでもセンスがよければ素敵だってことだね。そしてオシャレ上級者は、元々ベースにあるコンサバ感覚に上手にトレンドをミックスさせるからなあ。12月号の企画もそうした方向で揃えたわけだけど、東西の読者実例ページなんかを見ていると、まあみなさんベーシックなスタイルに上手にアクセントを加えているよね。
T なるほどですね。あ、ヒラヤマさん、お話の途中ですがそろそろ閉店のお時間だそうです。すぐ近くの素敵なバーを押さえてありますから、続きはそこでお願いしますよ。
H ったく、なんの因果でそんなムーディーなところにオマエと行かなきゃなんないんだか・・・。
T ところで歩きながらうかがうのもなんなのですが、今日のヒラヤマさんのコーディネートは、やっぱり特集のPART2「黒こそやっちゃえ!」を意識されたわけなんですか?
H は? ただ黒のタートルにチャコールのパンツをはいているだけだろーが。
T いえ、ご自身の見え方をも計算に入れた完璧なワントーンコーディネートだなあと思いまして。
H オマエ、それが言いたかっただけだろ!? ・・・おっ、バーってのはここか? こりゃまたすごく照明を落とした店だな。
T ええ、なにせここに一緒に入ったカップルは必ずうまくいくと言われているくらい、雰囲気のあるバーですから。じゃあ、入りますよ。
店員さん いらっしゃいませ。
T ええと、予約をお願いしておりますタガシラと申します。
店員さん 2名様でご予約のタガシラ様でございますね? お連れ様は後からお見えですか・・・?
T えっ、ちゃんとここにふたりいますって・・・あれれ、おかしいな? ヒラヤマさん、どこにいるんですか?? まいったな、暗闇が保護色になって見えないや。